元サピックス中学部講師がすすめる、社会の勉強の仕方

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woman in yellow sweater sitting on chair社会
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暗記だけの勉強はつまらないし、身につかない

高校入試の公民の典型的問題で、次のような問題があります。

中学入試でも、難関校ですと、国際連合についての基本的な知識が問われますよね。

(問1)次の中から、国際連合の安全保障理事会の常任理事国でない国をすべて選びなさい。
ア アメリカ
イ イギリス
ウ ドイツ
エ 中国
オ ブラジル

国際社会の仕組みは中学3年生で学ぶ公民の領域です。

「5大国」という概念の記憶を問う問題に思えますが、実はこれは単に現代社会の問題ではなく、歴史にも通じる問題として理解すれば、暗記に頼る必要もない問題です。

 

私なら、こう説明します。

 

 

ちょっと、この問題からそれるけど、国際連合って英語の略称で何というか覚えている?何ならネットで国連本部のホームページ見ればすぐわかるよね?
United Nationsです。略称はUNね。UNが頭につく、UNICEFとかUNHCRとか、これはすべて国連の組織です。

さて、United Nation、これどういう意味?

えーっと、国際連合?

そうなんだけど、じゃあUnitedとNationsの意味って何?ちょっと難しいかな?Nationはわかるよね?国だけど、United はわかるかな??

国際??いや、それはインターナショナルか…

Unitedがつくほかの固有名詞わかるかな?

ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ!

そう!正解!!

そのUnitedどういう意味かんというと結びつくって意味なんだよね。
連合したって形容詞なんです。

じゃあUnited Nationsを直訳すると??

連合した国??

そうそう合ってるよ。なんか歴史でそれに近い言葉習わなかった?

あ!連合国!?

そのとおり!
国際連合っていうのは、実は連合国がもとなんです。
連合国ってのは第2次世界対戦で日本やドイツなどの枢軸国と戦った国だよね。
その連合国が、第二次世界大戦後の新しい国際秩序を作る上で国際機関の形で作ったのが国際連合。
国際連合っていうのは、連合国とニアリーイコールなんです。
国連って中立的な組織だけど歴史的には連合国が中心なわけ。
常任理事国は設立当初からメンバーは変わってなかったよね。
その常任理事国は第2次世界大戦中の連合国以外が入ることはないんだよ。

随分遠回りしたけど、常任理事国じゃない国は?

ドイツ!!

そう、もう1つあるけど…

ブラジル

正解!!

常任理事国は連合国の中心となった5つの国。
アメリカ・イギリス・フランス・ロシア・中国でした。 
ブラジルも連合国ではあったけど入っていない。

まあこのへんは正確な知識が必要ですね

 

といった具合です。

 

はじめて国際社会について学ぶとき、まず「5大国」といして常任理事国を覚える。そのこと自体は重要です。
こういう考える授業をするためには、歴史の正確な理解も不可欠ですし、「入試では思考力を問われる」といっても、それは「正確な知識の上の思考力」が求められるわけで、知識なしに考えることなんてできません。

 

子どのたちの記憶力は抜群。丸暗記のほうが早い場合も…

一方で、中学生というのは大人からすると羨ましいくらい記憶力がある。
だから、今の話と矛盾するようではあるのですが、どんどん暗記すべきだと思うんですね。

 

たとえば、次の問題。

(問2)次の中から、EU加盟国でない国をすべて選びなさい。
ア イギリス
イ フランス
ウ ドイツ
エ ギリシャ
オ ルーマニア

 

選択問題や正誤問題の難しいところって答えが1つでないところなんですね。
特に国立、学芸大附属なんかは正確な知識が求められるんです。
さて、この答えは?

イギリス!

正解。これは、最近のニュースを見えていればわかるね。時事問題です。
イギリスはことしEUから独立したばかり。

ほかは??

うーーーん

となるわけです。
答えはルーマニアなんですが、私はこう教えます。

EU加盟国を問う問題はもういちいち迷うのも面倒だから一層暗記してしまいましょう。

EUの加盟国は以下のとおりです。

ベルギー・オランダ・ルクセンブルク・ドイツ・イタリア・フランス
イギリス・アイランド・デンマーク
ギリシャ・スペイン・ポルトガル
スウェーデン・フィンランド・オーストリア

 

キプロス・チェコ・エストニア・ハンガリー・ラトビア・リトアニア・マルタ・ポーランド・スロバキア・スロベニア・ブルガリア・ルーマニア・クロアチア

以上を早口言葉でとにかく覚える!!

え???

ベルギーオランダルクセンブルクドイツイタリアフランス……。
ほら全部読み上げても15秒もかからないでしょ。
一度覚えたら、もう頭で唱えるだけ。
どうだったのかな?とか迷う時間よりよっぽど短く解決する!!

これはとにかく記憶量がある小学生や中学生あたりに適した勉強法なんです。

英語の勉強でも、高校生や大人だと、まず単語カードを作って…なんて考えますが、小学生や中学生くらいだとカードを作ったそばから暗記してしまうんですね。
スリランカの首都の「スリジャヤワルダナプラコッテ」なんってやたら長い、覚えにくい言葉だけど、面白半分に暗記したらもう忘れないものですよね。
面倒なものこそ、とりあえず暗記する。
暗記より理解という、一般的な主張とは逆行するのですが、四の五の言わずに、とりあえず暗記する、それも重要です。

ちなみにこの勉強法は、私自身がサピックスの生徒だったときに教わったやり方で、体が覚えているから、10年経っても、決して忘れることはありません。

 

暗記は重要、しかし知識を体系化させよう

社会という科目の性質上、暗記は重要です。
最近、特にネット上では、「知識はググればわかるから必要ない」という声も聞きます。
たしかに、日常生活の上で、ググってわからないことはほとんどありませんし、検索能力は、生きる上で知識以上に重要かもしれません。
ただ、知識がなければ考えることもできませんし、実社会でもなにか問題に直面した際に、疑問を持つこともできません。
「振り込め詐欺」は形を変えて多くの人が騙され続けていますが、世の中こんな詐欺がある、詐欺師はこういうふうに騙すという知識があれば騙される確率は買う段に下がります。
情報があふれる現代社会だからこそ、正確な知識というのは生きる武器になります。

 

ブログ立ち上げにあたって

私は、たぶんサピックス30年余の歴史の中でも、たぶん最も子どもたちの成績を上げてきた講師だと思います。
そんなmotoサピックス講師が、社会をはじめ勉強全般のTIPS、塾業界の仕組みや現状、入試情報や「サピックス」という塾についてなど、「マーケター」として綴っていきます。
おすすめの教材なども紹介していきます。


特に高校入試という世界は、中学受験と違っていまだ洗練されず、誤った勉強法を強いられている人たちがたくさんいます。そういった人たちや講師の人たちにも役立つ情報を提供していきます。
そして、中学受験に役立つ情報も提供していきます。

よろしくおねがいします。

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