音読で成績は上がらない?受験勉強で必要なのは「解く」訓練。目標に向けた戦略を

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国語
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中学受験の国語が苦手なお子さんをお持ちのご両親が悩みの末に取り組ませる「音読」。最初から最後まで読み通せば、読めない漢字は見抜けるし、否応なしに「読む」練習はできます。しかし、それと中学入試問題が解けることとは別問題。入試で求められるのは「解く力」。
受験勉強において、目的・効果を見失ってしまうと、せっかくの勉強は逆効果、時間の無駄になりかねません。

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「音読」で国語好きになるのか?

中学受験では、国語に苦手意識を持つお子さんは多いと思います。
こういう質問もいただくことがあります。

四谷大塚の合不合判定テストなどの模試で男女別平均点を見ると、算数は男子の平均点が高く出ますが、国語は逆に男子が低く、女子が高い傾向が顕著です。この傾向は大学受験まで続きます

かつては代ゼミの東大模試などでも男女別平均点が公表されていましたが、数学や物理は男子の平均点が高い一方、国語は女子の方が高いものでした。

受験の世界において、より「論理的」な科目が好きな男子は多いですが、国語、特に物語文などには苦手意識を持つ子どもが多いようです。

なんとか文章への苦手意識を取り払おうと、親は「音読」をさせようとします。
国語が苦手な子の多くは、「文章」以前に「ことば」への関心も薄く、文章を音読させることで、知らない言葉や読めない漢字をなくしたいという親心は痛いほどわかります

しかし、音読で子供が文章好きになるかというと、それはあまり望めません
おそらく文章を読むことが楽しい子は、もっと前から本への関心を高めていたでしょう。
漫画が好きなのに、本が嫌いな子に、「音読」をさせたところで、苦痛なだけです。

「音読」で文章の理解力は上達するのか?

中学受験で出題される文章の文字数は、男子校の平均で約5500字、女子校で約5900字です。

ふだんの学習でも、大問1問の文章が3000文字あったとしたときに、音読するだけでも10分以上かかるわけです。

ちなみに、NHKのアナウンサーがニュースを読むスピードは1分あたり300文字と言われています。小学生はもっと時間がかかりますから、3000文字なら15分程度でしょうか。
ただでさえ、国語が嫌いな子供にとって、その15分間は、いったい何をやっているのかわからない苦痛の時間でしかないはずです。
「音読」で文章が理解できるかというと、必ずしもそうではありません。「声に出して正しく読む」ことには、「正しく読みあげる」ことそのものの負担があります

安倍前総理大臣の国会演説の原稿に「ふりがな」が振ってあるとネットで話題になったことがありました。
おおむね「中傷」の意味で取り上げられたわけですが、テレビ局のアナウンサーだって、ふりがなや記号をみっちり書き込んで、イントネーションを含めて間違えずに読み上げられるように下読みをするわけです。

国語が苦手な子供が「音読」に取り組んだところで、「文章の理解力」が高まるかと言うと、至難の業です。文章にメリハリをつけて、人に伝わるように読んでこそ、理解力を図れる実は音読というのは、上級者向けの学習です。

たとえば次のような文章で考えてみましょう。

僕は国語が嫌いだ。
たしかに、本屋に行けば面白い本はたくさんある。しかし、中学受験で取り上げられる文章ははっきり言って難しすぎる。さらに、空欄があったり線が引いてあったり、いちいちいろんなことを考えなくてはいけない。はっきり言って、文章を楽しむことなんてできないのだ。

音読するなら、どう読めばいいのでしょうか?
意味を把握しようとしたときに大切なのは、「接続詞」の単位で文章を分解することです。
「たしかに,……しかし……」というのは、特に説明文では頻出のパターン。

まず最初に、最も言いたい「僕は国語が嫌いだ」ということが書かれています。
その理由は何か、その答えは「しかし」以降に書いてあります
音読する時は、まず「僕は国語が嫌いだ」と、心を込めて読んだあと、「たしかに」で一呼吸。「本屋に行けば面白い本はたくさんある」というのは、ここで強調したい話ではないので、流し読みして、「しかし」でもう一呼吸。そのあとを丁寧に読む、メリハリを付けて読まなければなりません

こういう読み方ができる子はきっと国語が得意になっていると思います。
音読で意味の理解を確認するには、抑揚をつけて読むこと。聞いてわかる読み方をすることです。
実はそうした読み方をするのは、国語が苦手な子供には苦痛でしかない場合が多いのです。

入試が目標なら、問題を解けるようにする

そもそも「音読」に取り組んでいる目的は何でしょうか?国語の得点を上げたいケースが多いのではないでしょうか?

だとしたら、得点が上がるための対策を強化するのが子供にとっても幸せなはずです。
さらに、算数が得意な子など論理的思考を好む子であれば、「解法」を学習して成績上達を図るほうが喜ぶはずです。

たとえば、さきほどの例文なら、文章を読む際は、「たしかに,……しかし……」という接続詞を丸や四角で囲みながら読み進めるのは解放の基本です。
接続詞を意識して読むことで、文章の構造がつかめます。
実際に、作者が言いたいことの理由が設問で聞かれた場合は、しかしの後で答えを探すことになります。

また、「それ」や「これ」などの指示語の意味を問う問題なら、基本的には傍線部から前にさかのぼって答えを探していきます
まずは直前2〜3行に答えがあるケースが多いですが、わざと答えが傍線部から離れたところにあるものを出題するケースもありますので、その場合さらに前にさかのぼって答えを探していきます

国語の学習で大切なのは、解法のルールを知ることと、出題者の意図を把握することです。
問題をたくさん解くなかで、こういうことが問われるというのは感覚的にわかってくるはずです。

こうした解法についての知識を体系的に学習したいなら、「受験国語の読解テクニック 親ナビつき (シグマベスト)」などの参考書を親御様向けにご購入されることをお勧めします。

 

多くの親御様は、ご自身も受験勉強を経験され、きっとこういう解法も学ばれたことはあるとは思いますが、時間がたつとそれも忘れるものです。
一度体系的にまとまった本に目を通すことで、昔の記憶が蘇ったり、新たな発見があったりして、子供の学習指導にも大いに役立つはずです。

受験は目標に向かって、効率的、戦略的に

また、子供は子供で塾ではこうした解法を学んでいるはずです。

国語が苦手な子供は、国語の復習は疎かにしているケースが多いですが、なぜその答えになったのか?説明できるようになることはとても大事です。

塾でも解法を習っているはずですので、どういう解き方でその答えが導き出されたのか、子供に説明してもらうと良いでしょう。
初見で問題が解けなくても、授業で解法を学び、家庭での復習でその解き方を反復するということの繰り返しで、国語の力も確実に伸びていきます。

大切なのは、単に復習の時間を設けることではありません。
中学入試という目標があるなら、入試で問われる解法・能力を身につけることが効率の意味でも戦略の意味でも大切なのです。

中学受験は算数で差がつくケースがほとんどですが、それも国語や理社が一定程度得点できていることが大前提です。
国語が苦手な場合、ディスアドバンテージとなり、勝負の場に立てないことにもなりかねません。
一朝一夕に能力は伸びませんが、戦略的に、正しい勉強で地道な努力を重ねることが大切です。

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