NNやSS、四谷大塚… 塾の「合格実績」〜「塾生」の範囲は? 合格実績のカウント基準

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中学受験
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小6になると、ふだん通う塾のほかに、早稲アカのNNやSAPIXのSS特訓などを並行して受験するケースも少なくありません。また、一見合格実績がよいように見えて、実は、ほとんど他塾を利用した生徒の実績というケースもあります。塾は合格実績をよく見せたいもの。そのカウント方法は一見わかりにくいものがほとんどです。

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合格実績は、塾の集客の目玉、ゆえにトラブルも

2020年、大手学習塾「臨海セミナー」を運営する「臨海」(神奈川県横浜市)の勧誘活動などをめぐって、早稲田アカデミーなど同業他社19社がが申し入れを行ったことがニュースになりました。

臨海セミナーの塾生から学校の友人の中での成績優秀者の名前・塾名・志望校などの個人情報を聞き出して模試や講習などの申し込みを促すと塾生は金券がもらえるという制度にクレームをつけたのです。

申し入れで、19塾は、次のように指摘していました。

「入試直前に、他塾に通う生徒の籍を変えずに『特待生』(難関校の受験、結果の報告、広告掲載などを条件に、授業料が一定額免除される制度)として勧誘し、自塾の合格実績だけ増やそうとしている」

この要請は、臨海社員が「当社が行っている強引な生徒勧誘や合格者作りの手法には社会的に容認できない」などと内部告発を受けて行われました。

のちに臨海セミナー側は、申し入れ側の主張を否定しましたが、勧誘活動の非は認める形で和解に至りました。

塾や予備校の合格実績といえば、大学受験の東進ハイスクールの「東大合格者」の推移グラフに象徴されるように、集客の目玉です。

現役合格実績[2021年]|大学受験の予備校・塾 東進
大学受験予備校・塾の東進の2021年現役合格実績のご案内です。東大・京大をはじめとする難関国立大、早慶上理など難関私大に抜群の現役合格実績を誇る大学受験予備校。

中学受験塾でも早稲田アカデミーは投資家向けのIR情報でも合格実績をアピールしています。
2021年5月10日に公表した早稲田アカデミー(4718)の決算では次のように記されています。

教務面では、生徒一人ひとりの成績向上と志望校合格の実現に向け、教材・カリキュラムの充実や教務研修の 強化、難関校対策特別コースの拡充等に取り組みました。これらの取り組みにより、今春の入試においては、開成高校111名、早慶高校1,748名、御三家中学448名、早慶中学495名をはじめ難関校への合格実績が飛躍的に伸長いた しました。

参考までに、早稲田アカデミーは、コロナ禍にあっても小学部は順調で、2020年4月から2021年3月の生徒数は、平均21,591人と前期比3.7%増加しています。

その早稲アカの合格実績の算出方法については、のちほど解説しますが、塾にとって、「決算」の数字と並べて重要視する数字です。

全国学習塾協会の「自主基準」

かつては「水増し」も当たり前?

合格実績をめぐっては、過去から「水増し」などのトラブルが起きていました。
1980年代くらいまでは、塾内の基準に反する公表は当然のように行われていたといいます。

(麻布中学の1985年入試の)結果は初回発表で「99名」合格。「水増し」をして「101名合格」と発表した。実は日能研は83年入試まで合格者の「水増し」発表をしていた(その統括責任者も私)。それを84年入試からピタリと全廃し、逆に他塾の「水増し」発表や四谷大塚の合格者の「準拠塾」やTAPとのダブリを猛批判していた。「99名」と「101名」では、社会的インパクトが全く違うから是非「水増し」をしたい。しかし他塾にバレルのが怖い。「2名」は名古屋のK塾から東京の日能研模試の「合格判定テスト」を受けに来ていた生徒の名前を借りた。すぐに10人くらいは「追加合格」が出ると踏んでいたが、それがなかなか出ない。青くなった。結局最終的に5人繰り上がり、合計は「104名」に。名古屋の2人の名前はすぐに消した。
(アクセス教育情報センター Access Report No.151 元日能研取締役の連載より)

なお、公正取引委員会は 1985年、学習塾に対して「8 日間程度の短期講習のみや数回テストを受けただけの生徒数を実績に含めると、消費者の誤認を招く恐れがある」との見解を示しています。

日本学習塾協会は「自主基準」

その後も現在に至るまで、無料の特待生や模試のみの受験生を合格実績に参入するなどの例は枚挙にいとまがなく日本学習塾協会では、「学習塾業界における事業活動の適正化に関する自主基準」を定めています。

全国学習塾協会は、民間教育を担う団体・個人に関する支援及び能力開発、調査研究、地域社会に対する貢献の推進等を行うことによって児童及び青少年等の学力養成の推進に寄与し、より良い社会の形成を推進することを目的として設立された公益社団法人です。

中学受験の主な塾では、栄光ゼミナールや早稲田アカデミーが加盟しています。
なお、SAPIXや四谷大塚、日能研は加盟していません。

その日本学習塾協会は、2018年に「自主基準」の細則を改正し、合格実績については、以下のように定めています。

合格実績

  • 合格実績を表示する場合には対象となる生徒の範囲を明示する、当年度実績か過年度の累計・積算かを明示する
  • -塾生徒の範囲を特定するための基準は、受験直前の6ヶ月間の内、継続的に3ヶ月を超える期間当該学習塾に在籍し、通常の学習指導を受けた者とする。但し、受験直前に集中講義等を受講し、その受講時間数が50時間を超える場合には、在籍期間にかかわらず塾生徒とすることができる。3ヶ月又は50時間の受講内容は、正規の授業若しくは講習でかつ有料のものでなければならないものとし、体験授業・体験講習・無料講習・自習・補習等であったり単に教室内にいただけの自習時間等は含まれないものとする

つまり、受験直前期に3ヶ月以上在籍し、通常の学習指導を受けた者が対象になり、テスト生や、季節講習生だけを受験した生徒は原則含まれません。ただ、50時間を超える指導を受けているならば対象になりえるわけです。また、「無料講習」や「体験講習」は含まれません

ただ、実際の運用は塾により異なり、またSAPIXや四谷大塚、日能研は、協会に加盟していませんので、この指針を参考にして、独自の基準で発表しているに過ぎません

大手中学受験塾の合格実績の対象は? SAPIX・早稲田アカデミー・四谷大塚・日能研

それでは、それぞれの塾はどのような基準で合格者数をカウントしているのでしょうか。

早稲田アカデミーのNN生は合格実績にカウント

まず、塾業界で合格実績のカウントをめぐって、たびたびやり玉にあげられるのが早稲田アカデミーです。

実際、2000年代に急成長した際には、SAPIX生などの優秀な生徒を「特待生」として入塾させ、実際にはほとんど授業を受けていない生徒を合格実績にカウントして、問題化したこともあります。

早稲アカの合格実績のページで、対象の生徒については、次のように記されています。

早稲田アカデミーグループ(早稲田アカデミー・国研・SPICA・早稲田アカデミー個別進学館・水戸アカデミー・QUARD・早稲田アカデミー海外校)

ここで、ときどき疑問を持たれるのが、「NN志望校別」コースの生徒が合格実績に対象になるかです。

答えは「Yes」です。

早稲アカは、NNの生徒も合格実績にカウントしています。

早稲アカのNN特訓は、11,000円の「入塾金」を要しています。
つまり、早稲アカは、レギュラー授業を受けている「早稲田アカデミー生」も、「NN生」も、早稲アカにに「在籍」している塾生として扱っているのです。

SAPIXはSS生も合格実績に

似たような疑問を持たれるのが、サピックスのSS特訓です。

SAPIXでは、合格実績の対象については、次のように記しています。

サピックス小学部では、内部生手続きを行い、継続的かつ2021年1月まで在籍した生徒のみを合格実績として掲載しております。 
テスト生や各種講習生などは、実績に含んでおりません

「各種講習生など」は合格実績には含まないということですが、ここでいう「各種講習生」に「SS特訓」を含むのか。

答えは、「No」です。

SS特訓は、早稲アカのNN同様に、33,000円の入室金が必要です。SS生もサピックスに在籍する形で、合格実績のカウントの対象となります。

四谷大塚は早稲アカ生も含まれる

最後に、合格実績がもっともわかりにくいのが四谷大塚です。

ウェブサイトには、次のように記されています。

合格者数は、四谷大塚ネットワーク(四谷大塚・四谷大塚YTnet・四谷大塚NET)に継続的に在籍し、四谷大塚が開発した教材および教育サービスで学習した生徒を対象として集計しております。なお、講習生や公開テスト生などは、一切含んでおりません。

注意したいのは、四谷大塚YTnet・四谷大塚NETの在籍者も合格実績に含まれている点です。YTnetとNETの違いはここでは割愛しますが、いずれも四谷大塚と提携した外部の塾で、早稲田アカデミーなどが含まれます
予習シリーズを使って学習し、 週テストを受験します。
これらの提携塾の実績も、四谷大塚の実績としてカウントされるのです。「四谷大塚が開発した教材および教育サービスで学習した生徒を対象として集計」としているのはそのためです。ですから、四谷大塚の合格実績の中には、最近早慶や男女御三家の合格実績が増加している早稲アカの実績も参入されます。

多くの保護者が知りたいのは、四谷大塚の「直営校舎」の合格実績ですが、オフィシャルには発表されていません。

合格実績の「重複」は当たり前

毎年入試シーズンに発表される各塾の合格実績を足し合わせると、合格発表者数よりも多くなることは珍しくありません。

SAPIX生がNNを受講すれば、仮にほとんど「欠席」していたとしても、早稲アカの合格実績にもカウントされます。また、早稲アカで週テストを受けていた生徒は四谷大塚の合格実績にもダブルでカウントされます

塾の合格実績は、「集客」のための材料。
それぞれの塾が、どのような意図で、どう合格実績を算出しているのか、塾の実力を図る際には、注意が必要です。

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