オリンピック翌年は世界地理の時事問題が増える??中学入試、 前回五輪では?

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オリンピック中学受験
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中学受験から大学受験まで、毎年一定の出題がある「時事問題」。オリンピックの開催翌年には、オリンピック関連の出題が当然増えます。とはいえ、普段あまり学習しない「世界地理」の出題が増えるのでしょうか?前回リオ大会の翌年の中学受験の状況は?難関校の入試問題を分析します。

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前回リオ五輪後の時事問題は?

「オリンピック」出題された学校、されなかった学校

まず、そもそもオリンピックの翌年に関連する時事問題はどの程度出題されるのでしょうか?
前回2016年のリオオリンピック翌年、2017年の有名中学の入試問題を整理してみました。

対象は、四谷大塚の過去問DBで「PICK UP中学校」として取り上げられている、以下の有名校です。

中学入試過去問データベース
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男子校
開成中学校 麻布中学校 武蔵中学校 筑波大学附属駒場中学校 ラ・サール中学校 聖光学院中学校 栄光学園中学校 海城中学校 早稲田中学校 駒場東邦中学校
女子校
桜蔭中学校 女子学院中学校 雙葉中学校 豊島岡女子学園中学校 フェリス女学院中学校 浦和明の星女子中学校
共学校
慶應義塾中等部 渋谷教育学園幕張中学校 渋谷教育学園渋谷中学校 青山学院中等部 筑波大学附属中学校

さらに、ここには列挙していませんが、四谷大塚偏差値60以上の学校からも五輪関係の出題を検索し、のちに出題校を挙げています。

では、どの学校でオリンピック関係の出題があったのかといいますと…

オリンピック関係の出題あり
開成中学校 早稲田中学校 慶應義塾中等部 青山学院中等部
オリンピック関係の出題なし
麻布中学校 武蔵中学校 筑波大学附属駒場中学校 ラ・サール中学校 聖光学院中学校 栄光学園中学校 海城中学校 駒場東邦中学校 桜蔭中学校 女子学院中学校 雙葉中学校 豊島岡女子学園中学校 フェリス女学院中学校 浦和明の星女子中学校 渋谷教育学園幕張中学校 渋谷教育学園渋谷中学校 筑波大学附属中学校

調査対象21校のうち、オリンピック関連の出題があったのは4校。割合にすると2割弱の学校でオリンピックを第第にした時事問題が出題された形になります。

多いと思いますか?少ないと思いますか?
社会といえば時事問題、毎年秋にはSAPIXや日能研などから、その年や前年のニュースをまとめた時事問題の参考書が出版されるくらい、時事問題対策はメジャーですが、そもそも時事問題が出題されない学校も多くあります。そうした中で、全体の2割弱の学校で時事問題としてオリンピックが取り上げられるわけですから、はなから勉強の対象としないのはちょっと危なっかしい状況です。2月1日から3日まで4科目入試校を3校受験すれば、1校程度はオリンピック関連の出題がある可能性が十分にあります。
SAPIXや日能研などの時事問題の参考書は、毎年11月ごろに出版されます。必ず購入して入試直前期に重要テーマについてしっかりおさえる必要があります。

おすすめはSAPIXの『重大ニュース』です。これは2020年版ですが、中学受験では、入試の前年・前々年のニュースから時事問題が出題されますので、2年分持っておいて損はありません。

オリンピックの時事問題=世界地理??

一方、時事問題としてオリンピックが取り上げられるというと、「世界地理」を連想される方が多くいらっしゃいますが、必ずしもオリンピックの時事問題=世界地理というわけではありません。

特に中学受験では、世界地理が入試に占めるウェイトは非常に小さくなっています。

なお、学習指導要領では、世界地理については、次のように扱うとされています。

世界の中の日本の役割について,次のことを調査したり地図や地球儀,資料などを活用したりして調べ,外国の人々と共に生きていくためには異なる文化や習慣を理解し合うことが大切であること,世界平和の大切さと我が国が世界において重要な役割を果たしていることを考えるようにする。
ア 我が国と経済や文化などの面でつながりが深い国の人々の生活の様子
イ 我が国の国際交流や国際協力の様子及び平和な国際社会の実現に努力している国際連合の働き
我が国と経済や文化などの面でつながりが深い国の人々の生活の様子

(中略)

ア アについては,我が国とつながりが深い国から数か国を取り上げること。その際,それらの中から児童が一か国を選択して調べるよう配慮し,様々な外国の文化を具体的に理解できるようにするとともに,我が国や諸外国の伝統や文化を尊重しようとする態度を養うこと。
イ イの「国際交流」についてはスポーツ,文化の中から,「国際協力」については教育,医学,農業などの分野で世界に貢献している事例の中から,それぞれ選択して取り上げ,国際社会における我が国の役割を具体的に考えるようにすること。
ウ イの「国際連合の働き」については,網羅的,抽象的な扱いにならないよう,ユニセフやユネスコの身近な活動を取り上げて具体的に調べるようにすること。
エ ア及びイについては,我が国の国旗と国歌の意義を理解させ,これを尊重する態度を育てるとともに,諸外国の国旗と国歌も同様に尊重する態度を育てるよう配慮すること。

「国際交流」について、「スポーツ、文化の中から」取り上げるとあり、そもそもスポーツイベント、オリンピックに関連して国際交流について学ぶのは、中学受験以前に学習指導要領が想定していることです。つまり、原則として学習指導要領に沿って出題する国立大附属や公立の中高一貫校を含め、オリンピックを通して世界についての理解を問う問題は、中学入試でも非常に出題しやすいのです。

なお、時事問題は教科書に載っているのに出題されるの?という疑問もありますが、学習指導要領に沿った形で難問を出題してくる筑駒も、コロナによる休校などに対応する措置で出題範囲を限定した2021年の入学試験でも時事問題は出題すると明記していました。

6年生で学習する内容のうち、教科書中の次に挙げる内容を出題範囲から除外します。
・東京書籍、教育出版の教科書のうち「世界の中の日本」
・日本文教出版の教科書のうち「世界の中の日本と私たち」
ただし、時事問題は出題します。
(筑波大学附属駒場中学 令和3年度中学入学者選考における学力検査の出題範囲についてより)

国際交流については、小学校では小6の2学期以降に学習する内容ですが、中学受験で出題されても、それは学習指導要領に載っているものを出題されているものであり、文句は言えません。一方で、本格的に「世界地理」を学習するのは中学校に入ってからで、中学受験で出題される国自体、かなり限られます。
その意味で、時事問題として出題されるといっても、決して世界地理として出題されるわけではありません。「オリンピックがあったから来年は世界地理が出る」というわけではないのです。

このあと具体的な出題例を挙げますが、オリンピック開催国についての知識を問う問題は出題されやすい傾向にありますが、世界地理全般が広く対象になるわけではないことを繰り返し強調しておきます。特に2021年の東京オリンピックは自国開催ですので、開催地に関する世界地理の問題が出題されることはなく、そのための特別な対策は必要ありません。

一方で、東京大会は、自国開催ということもあり、注目度が高い大会でしたから、出題そのものは、例年より増える可能性があります。

ここからは、2017年の入試問題ではどのような出題があったか、個別に見ていきます。
なお、入試問題は、著作権の関係で、直接掲載しませんので、四谷大塚の過去問データベースなどを参考にしてください。

中学入試過去問データベース
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オリンピックの時事問題、2017年はどう出題された?

開成中学校は東京の地理にからめて出題

開成中学の入試問題というと、「東京の地理や歴史」に関する問題が出題されることは受験生の間では周知の事実です。

そして、2017年の入試でも、オリンピックに関連して東京の地理・歴史を問う問題が出題されました。
今からすると随分昔の問題ですが、2005年の入試では、次のような問題が出題されたのは、出題意図など塾業界では語り草になっています。

上野御徒町駅で大江戸線に乗るときについて、次のうちの正しいものを一つ選び、記号で答えなさい。

ア 都庁前駅に行くためには1番線に乗らなければならない。
イ 都庁駅前に行くためには2番線に乗らなければならない。
ウ 都庁駅前に行くためには1番線・2番線のどちらに乗ってもよい。

(2005年 開成中学入試問題より)

そして、リオ・オリンピック翌年の入試では、「2020年オリンピックの開催に向けて、さらに多くの人々が東京におとずれることが予想される」として「1964年のオリンピックのマラソン競技では国立競技場から江戸時代の五街道に由来する道がコースになった」として街道名を答えさせる問題、住宅の空き部屋などを宿泊施設として利用することをなんというか漢字2文字で答えさせる問題などが出題されました。

答えは、甲州街道と民泊です。民泊については、コロナによって利用されることはほとんどありませんでしたが…
甲州街道については、調布市の「味の素スタジアム」付近の折り返し地点に、五輪マークが刻まれた石碑が立っています。

オリンピック関連の問題では、前回1964年の東京オリンピックに関する出題が今後も出題される可能性は十分にあります。

たとえば、前回オリンピックの選手村があり、今回も卓球の競技場となった東京体育館も近くにある代々木公園
戦前は、陸軍の連兵所であり、明治時代に日本で始めて飛行機が飛んだ場所でもあります。戦後は米軍住宅地「ワシントンハイツ」として利用され、それが選手村として活用されたあと、代々木公園として整備されました。この「ワシントンハイツ」にちなんで、NHKの近くには「ニューワシントン渋谷」という名前のホテルがあります。

東京は、江戸時代以降日本の中枢にあった地で、歴史的に意味がある土地がたくさんあります。
ふだんから、「ここは昔は何だったのか?「、逆に歴史を学ぶときは「いまはどうなっているのか?」、昔と今を結びつけながら、学習する姿勢が重要です。
ちなみに、東京の地理や歴史については、都内の公立中学に通っていれば、小3・4で地域の歴史などを学びます。実は、学校で当たり前に学習しているようなことが中学受験にも結びついていきます。
なお、神奈川・千葉・埼玉などにお住まいの方は、どうしても東京の地理については不慣れになりがちなので、意図的に東京の地理や歴史について特に強化して学ぶことが不可欠です。

早稲田中学校は、ブラジルの知識を問う問題

すでに述べたとおり、前回1964年の東京オリンピックに関する出題は、鉄板の出題形式で、早稲田中学でも次のような問題が出題されました。

1964年の東京オリンピックの開会式が行われた10月10日を「体育の日」としていました。次の中から1964年よりも前の出来事を1つ選び、記号で答えなさい。
ア カラーテレビ放送が開始される。
イ 日本人がノーベル平和賞を受賞する。
ウ 東名高速道路が全面開通する。
エ 大阪で万国博覧会が実施される。

前回の東京オリンピックは、高度経済成長の真っ只中。近代史としても非常に扱いやすい年代です。
そして、前回東京オリンピックを、多くの人がカラーテレビで見たということが頭の片隅にでもあれば、この問題を正解することは十分可能です。

慶應中等部もスタンダードに開催国について問う

大問1問を割いて世界地理や、日本と世界の結びつきに関係する問題が出題されました。
「2016年、ブラジルのリオデジャネイロで夏季オリンピック・パラリンピックが開催されました」で始まる問題文を読ませ、赤道通過国、当時流行していた「ジカ熱」を選ばせる問題、またブラジルの言語と宗教の組み合わせを答えさせる問題が出題されました。

オリンピックに関連して世界地理の知識を問う場合、開催国に関する問題が出題される傾向があります。
すでに述べているとおり、世界地理全般を広く強化する必要はないのです。
そして、慶應中等部で宙釣台されたような知識は、当時多くの受験生が時事問題対策として塾で取り組んだ内容です。時事問題といっても、対象をしぼりんだ対策さえしっかり行えば、全く恐れる必要のない、むしろ得点につながりやすい問題となります。その意味で、時事問題の対策本や塾での時事問題対策は非常に重要になります。

なお、リストアップしていませんが、浅野中学校でも、類似した問題が出題されています。
秋以降塾の時事問題対策でもしっかり対応することになりますが、2022年の入試対策としては、次回フランス大会に関連して、開催国日本以外にも、フランスに関する基本的な知識くらいは強化しておいてもよさそうです。

青山学院は「難民選手団」について、今回も要注意

青学で出題されたのは、「去年ブラジルで開催されたオリンピック・パラインピックでは、初めて結成された( )選手団が出場しました」の( )を埋めさせる問題です。
また、その保護と問題解決を行う機関をWHO,WTO、UNHCR、UNICEFから選ばせる問題が出題されています。
答えは「難民」ですが、今回も難民選手団については、たびたびメディアに取り上げられています。
難民やLGBTなど、オリンピックに関連して取り上げられた社会問題についてしっかり抑えておくことも肝要です。

広尾学園は「障害者」にスポット

さらに障害者に関する知識も十分に出題される可能性があります。

上記リストには含まれていませんが、広尾学園では、次のような文章を読ませた上で、あとのような問題が出題されました。

ブラジルのリオデジャネイロで開かれたオリンピック、皆さんも見ましたでしょうか。多くの選手が活躍し、私たちに勇気と感動を与えてくれました。しかし、勇気と感動を与えてくれたのはオリンピックだけではありません。そのあとに開かれたパラリンピックも私たちに勇気と感動を与えてくれました。……1964年の東京オリンピックのときにパラリンピックという名称が初めて使用され、……

点字ブロックがある駅のホームの写真を見させた上で、「危険性を減らすためにさらなる工夫ができそうです。視覚に障がりを持つ人のどのようなことを防ぐために、どのような工夫をするといいでしょうか。1行程度で説明しなさい」という問題です。

「ホームからの転落を防ぐために、ホームドアを設置するといい」などが正解になりますが、今回大会でも、オリンピック閉会式ではEテレで手話付きの映像が放送されるなど、出場者だけでなく観る人にとっても障害者に優しい社会のあり方が問題になりました。障害者、男女格差など、さまざまな問題について、日頃から考える習慣、これはテキストから離れて日常で身につけていく必要があります。そうした姿勢が求められるのが、近年の中学受験です。

浅野中学校は「外国人旅行者」。これも2022年は要注意!

なお、さきほども触れましたが、浅野中学校でもオリンピックに関する話題は出題されています。
ブラジルについて説明した文について適切でないものを選ばせる問題で、ブラジルが赤道通過国であることやポルトガル語が話されること、日本との距離が約2万キロであること、コーヒー豆の生産国であることなどの知識を問う問題が出題されました。
さらに、2000年代以降の外国人旅行者の増減の理由を問う問題が出題されました。

こちらのグラフは、実際に浅野中学で出題されたグラフに、2016年以降のデータを加えたものです。

浅野の出題の文言に基づいて、グラフを分析すると…

2003年以降、外国人旅行者数が増加したのは、周辺のアジア諸国の経済成長が進み、その国民の所得が増えた影響が大きい

アメリカのサブプライムローン問題が発生した世界同時不況の影響で外国人旅行者数が減少

2011年は、巨大地震と津波によって原子力発電所から放射性物質が放出された影響で、外国人旅行者数が減少

その後、金融政策によって円安が進んだことやLCCの就航が増えた影響で外国人旅行者数が増加

2020年、新型コロナの影響で外国人旅行者数が減少した

なお、2021年の入試においては、2020年の統計が入試に間に合わないため、新型コロナで外国人旅行者が減少したグラフは、どこでも出題されませんでした。
しかし、2022年の入試では統計が発表されたことから、2020年までの外国人旅行者の推移に関する問題が出題される可能性は無限大に高いです。

ちなみに、コロナによる訪日外国人の減少は、日本の観光業に大きなショックを与えていますが、2003年と比較すると、それでも約8割の人が訪れている計算です。いかに2000年代、特に2010年代に訪日外国人が増加したかがわかるでしょう。
2000代以降、訪日外国人で特に増加したのが中国からの旅行者で、2000年に団体旅行者へのビザ発給を解禁したあと、2009年には、年収制限を設けたうえで富裕層への個人観光客へのビザの発給を始めました。また人民元高で旅行しやすくなったことなども背景にあります。さらに2010年代にはタイなど東南アジアからの旅行者数も増えています。

こうした人の往来の背景について、塾でも学びますが、特に海外旅行などの経験がない、少ない子供にとってはどうしても、大人と比べて理解が追いつきにくい部分です。地理、また時事問題への苦手意識を抱えさせないためには、オリンピック・パラリンピックに合わせて、子供の関心を改めて世界に目を向けさせることがとても重要です。

時事問題、毎年多くの学校で出題

さきほど述べたとおり、筑駒が2021年の入試でも「時事問題は出題します。」と明記するだけあり、時事問題は中学受験生にとって逃げられない存在です。
ただ、新規の世界遺産のように新たに覚えなくてはいけない時事問題も存在しますが、多くの時事問題は、ニュースに関連させて、既存の知識や理解を問う問題です。
むしろ、テキストで習った内容を、ニュースに関連させて学び直すことで、知識は、生きた、より強固なものになるという意味で、時事問題の学習はメリットのほうが大きいものです。
一方で、時事問題の参考書が出版される11月以降は、過去問演習や他の科目の学習も追い込みに入っており、決して、社会の知識は最後に覚えればいいというわけにはいきません
全くニュースに触れてこなかった受験生が、11 月以降に時事問題に触れても、それはすべてが新しいもので、負担が増えるのみです。
入試までまだ半年ほどある夏のうちから、入試を意識して、通常の学習の間に、少しでもニュースに触れ、社会の出来事について覚え、考える時間を、家庭の中で作ることが非常に重要になります。

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